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自賠責保険における労災の求償権と被害者請求権の優劣

 通勤途中で交通事故に遭遇した場合、労災保険給付と自賠責保険給付が競合します。相手方が任意保険に加入していない場合には、労災保険給付では損害が填補されないこともあり、その場合には、被害者は自賠責保険給付に請求することになります。しかしながら、労災保険給付をした国も給付した額を自賠責保険に求償することができます。

 この場合に、国の求償権と被害者の自賠責保険給付への請求権と、どちらが優先するのか、その優劣関係が問題となります。この点について、最高裁平成30年9月27日判決は、自賠責保険による支払いは、被害者への支払いを優先するとしました。つまり、国の求償権と被害者の自賠責保険給付への請求権とを按分するとの判断を採用しませんでした。

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平成30年9月27日最高裁第1小法廷判決.pdf
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