後遺障害Q&A


Q 後遺障害の意味を教えて下さい。後遺症と違うのでしょうか?

 「後遺症」とは、怪我や病気などの治療後に残った機能障害や神経症状のこといいます。

 これに対して「後遺障害」とは、①交通事故が原因であることが医学的に証明された障がいで、②労働能力の低下(あるいは喪失)が認められ、③その程度が自賠責保険の「等級」に該当するものをいいます。

 したがって、交通事故により後遺症が残ったとしても、①、②、③に当てはまらない後遺症は「後遺障害」と認められません。


Q 自賠責保険の「後遺障害等級」を教えて下さい。

 交通事故による後遺障害は、部位や程度によって1~14級までの等級と約140種類、35系列の後遺障害に分類されています。

 これは、労災保険の障害認定の基準がそのまま当てはめられているものです。


Q 労災保険の障害等級を教えて下さい。

労働者災害補償保険法施行規則の別表第一の障害等級表は、以下のとおりです。

障害
等級

身体障害

第一級

一 両眼が失明したもの

二 そしやく及び言語の機能を廃したもの

三 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

四 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

五 削除

六 両上肢をひじ関節以上で失つたもの

七 両上肢の用を全廃したもの

八 両下肢をひざ関節以上で失つたもの

九 両下肢の用を全廃したもの

第二級

一 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの

二 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの

二の二 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

二の三 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

三 両上肢を手関節以上で失つたもの

四 両下肢を足関節以上で失つたもの

第三級

一 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの

二 そしやく又は言語の機能を廃したもの

三 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

四 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

五 両手の手指の全部を失つたもの

第四級

一 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの

二 そしやく及び言語の機能に著しい障害を残すもの

三 両耳の聴力を全く失つたもの

四 一上肢をひじ関節以上で失つたもの

五 一下肢をひざ関節以上で失つたもの

六 両手の手指の全部の用を廃したもの

七 両足をリスフラン関節以上で失つたもの

第五級

 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの

の二 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

の三 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

 一上肢を手関節以上で失つたもの

 一下肢を足関節以上で失つたもの

 一上肢の用を全廃したもの

 一下肢の用を全廃したもの

 両足の足指の全部を失つたもの

第六級

一 両眼の視力が〇・一以下になつたもの

二 そしやく又は言語の機能に著しい障害を残すもの

三 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの

三の二 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

四 せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの

五 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

六 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

七  一手の五の手指又は母指を含み四の手指を失つたもの

第七級

一 一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの

二 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

二の二 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

三 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

四 削除

五 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

六 一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指を失つたもの

七 一手の五の手指又は母指を含み四の手指の用を廃したもの

八 一足をリスフラン関節以上で失つたもの

九 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

一〇 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

一一 両足の足指の全部の用を廃したもの

一二 外貌に著しい醜状を残すもの

一三 両側のこう丸を失つたもの

第八級

一 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの

二 せき柱に運動障害を残すもの

三 一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指を失つたもの

四 一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指の用を廃したもの

五 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの

六 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

七 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

八 一上肢に偽関節を残すもの

九 一下肢に偽関節を残すもの

一〇 一足の足指の全部を失つたもの

第九級

一 両眼の視力が〇・六以下になつたもの

二 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの

三 両眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの

四 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

五 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

六 そしやく及び言語の機能に障害を残すもの

六の二 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

六の三 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの

七 一耳の聴力を全く失つたもの

七の二 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

七の三 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

八 一手の母指又は母指以外の二の手指を失つたもの

九 一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指の用を廃したもの

一〇 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの

一一 一足の足指の全部の用を廃したもの

一一の二 外貌に相当程度の醜状を残すもの

一二 生殖器に著しい障害を残すもの

第一〇級

一 一眼の視力が〇・一以下になつたもの

一の二 正面視で複視を残すもの

二 そしやく又は言語の機能に障害を残すもの

三 十四歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

三の二 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの

四 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの

五 削除

六 一手の母指又は母指以外の二の手指の用を廃したもの

七 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの

八 一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの

九 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

一〇 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

第一一級

一 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

二 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

三 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

三の二 十歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

三の三 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの

四 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

五 せき柱に変形を残すもの

六 一手の示指、中指又は環指を失つたもの

七 削除

八 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの

九 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

第一二級

一 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

二 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

三 七歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

四 一耳の耳かくの大部分を欠損したもの

五 鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの

六 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

七 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

八 長管骨に変形を残すもの

八の二 一手の小指を失つたもの

九 一手の示指、中指又は環指の用を廃したもの

一〇 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの

一一 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの

一二 局部にがん固な神経症状を残すもの

一三 削除

一四 外貌に醜状を残すもの

第一三級

一 一眼の視力が〇・六以下になつたもの

二 一眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの

二の二 正面視以外で複視を残すもの

三 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

三の二 五歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

三の三 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

四 一手の小指の用を廃したもの

五 一手の母指の指骨の一部を失つたもの

六 削除

七 削除

八 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの

九 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの

一〇 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの

第一四級

一 一眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの

二 三歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

二の二 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの

三 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

四 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

五 削除

六 一手の母指以外の手指の指骨の一部を失つたもの

七 一手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの

八 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの

九 局部に神経症状を残すもの

一〇 削除


Q 後遺障害の等級はどのような方法で行うのでしょうか?

 後遺障害の等級判断は、被害者自身が手続きを行う場合(「被害者請求」といいます)と保険会社に手続きを任せる場合(「事前認定」といいます)があります。

 被害者請求の場合には、審査に必要な資料を自ら収集・作成する必要があります。しかし、後遺障害診断書の作成を依頼した医師に対して、自身が感じている症状や支障についてしっかり伝えることができますし、依頼をした弁護士に記載漏れがないかをチェックしてもらうこともできるメリットがあります。したがって、適正な等級が認定される可能性が高くなる可能性があります。

 以上に対して、事前認定の場合には、自らが関与せずに後遺障害診断書が作成される場合もあるため、必要な事項の記載漏れや必要書類が揃わない状態で審査される可能性があります。また、場合により、相手方保険会社が自ら選定した医師の意見書が添付されることがあり、被害者に不利な認定を受ける要因になると思われることが生じます。